FP2級過去問題 2013年1月学科試験 問5

問5

老齢厚生年金の加給年金額および繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 加給年金額が加算されるためには、老齢厚生年金の受給権者本人の厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上あること等の要件を満たす必要がある。
  2. 加給年金額は、所定の要件を満たせば、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢到達時または65歳以降の老齢厚生年金の受給権を取得したときから加算される。
  3. 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をする場合、その申出は老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行わなければならない。
  4. 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をした場合、加給年金額は繰下げによる加算額を算出する際の対象となる年金額から除かれる。

正解 3

問題難易度
肢15.5%
肢27.4%
肢373.9%
肢413.2%

解説

  1. 適切。加給年金は、その者が権利を取得したときに要件を満たす配偶者や子がある場合に加算されます。いわば年金制度における家族手当のようなものです。
    その要件の一つである厚生年金保険の被保険者期間は、原則として20年以上あることが必要になります。
    老齢厚生年金の額に加給年金額が加算されるためには、原則として、受給権者が65歳到達時点において、厚生年金保険の被保険者期間が25年以上であり、かつ、受給権者によって生計を維持している一定の要件を満たす配偶者または子がいることが必要である。2017.5-6-3
  2. 適切。加給年金額が加算される時期は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢に到達したとき、もしくは65歳以降の老齢厚生年金の受給権を取得したときになります。
  3. [不適切]。老齢厚生年金の繰上げ支給の申し出をする場合は、老齢基礎年金も同時に繰上げ請求しなければなりませんが、繰下げに関しては、老齢厚生年金と老齢基礎年金のそれぞれについて繰下げをするか否かを選択でき、また両方繰下げるときでも別の繰下げ時期を選択することができます。
    老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求も同時に行わなければならない。2024.9-6-1
    老齢厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出を同時に行わなければならない。2024.5-6-3
    老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求も同時に行わなければならない。2023.9-5-3
    老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を同時に行う必要はない。2023.1-6-4
    老齢厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出を同時に行わなければならない。2022.5-5-2
    老齢厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出を同時に行わなければならない。2021.5-7-2
    老齢厚生年金の繰下げ支給を申し出る場合、老齢基礎年金の繰下げ支給と同時に申し出なければならない。2020.9-7-3
    老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を同時に行う必要はない。2019.1-6-3
    老齢厚生年金の繰下げ支給の申出は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出とは別に行うことができる。2018.5-5-3
    老齢厚生年金の繰下げ支給を申し出る場合、老齢基礎年金の繰下げ支給と同時に申し出なければならない。2017.9-6-3
    老齢厚生年金の繰上げ支給を請求するときは、その請求と同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求もしなければならない。2015.1-6-3
    老齢厚生年金の繰上げ支給を請求するときは、その請求と同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求もしなければならない。2014.5-5-1
  4. 適切。老齢厚生年金の支給の繰下げの申し出をした場合、加給年金額及び振替加算は、繰下げによる加算額を算出する際の対象とはなりません。一方、付加年金は繰上げ・繰下げの増減額率が適用された金額が支給されるので違いに注意しましょう。
    加給年金額が加算される老齢厚生年金について繰下げ支給の申出をする場合、加給年金額についても繰下げ支給による増額の対象となる。2023.9-5-4
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、加給年金額については、繰下げ支給による増額の対象とならない。2021.1-6-3
    付加年金の受給権者が老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、付加年金の額についても繰下げによって増額される。2020.9-7-4
    付加年金を受給できる者が老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、付加年金は、支給開始は繰り下がるが、繰下げによる増額はない。2013.5-5-4
したがって不適切な記述は[3]です。