FP2級過去問題 2013年5月学科試験 問14

問14

契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険の月払保険料に係る法人の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 被保険者をすべての役員・従業員、保険金受取人を法人とする定期保険特約付終身保険(特約は10年更新)の保険料は、終身保険部分を資産に計上し、定期保険部分を損金に算入する。
  2. 被保険者を特定の役員、保険金受取人を法人とする長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、保険期間の6割相当期間経過後は、支払った保険料を損金に算入するとともに、資産計上していた前払い保険料を期間の経過に応じて取り崩して損金に算入する。
  3. 被保険者をすべての役員・従業員、死亡給付金受取人を役員・従業員の遺族、年金受取人を法人とする個人年金保険の保険料は、その額の10分の9を資産に計上し、残り10分の1を損金に算入する。
  4. 被保険者をすべての役員・従業員、死亡保険金および満期保険金の受取人を法人とする養老保険の保険料は、その額の2分の1を資産に計上し、残り2分の1を損金に算入する。

正解 4

問題難易度
肢113.4%
肢220.4%
肢323.7%
肢442.5%

解説

  1. 適切。保険金受取人が法人の定期保険特約付終身保険の保険料の経理処理は、終身保険部分を資産計上し、定期保険部分を損金算入します。
    死亡保険金受取人が法人である定期保険特約付終身保険について、終身保険の保険料は資産に計上し、定期保険特約(10年更新)の保険料は損金に算入することができる。2016.5-15-1
  2. 適切。法人契約である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の支払保険料は、保険期間の前半6割の期間と後半4割の期間で経理処理が異なります。
    前半6割の期間
    支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上し、残り2分の1を定期保険料として損金算入する。
    例)長期平準定期保険として210万円を支払った。
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    後半4割の期間
    支払保険料全額と、前半6割で積み立てた資産(前払保険料)を均等に取り崩した額を損金算入する。
    例)長期平準定期保険として210万円を支払った。
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    法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険においては、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産に計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入することができる。2019.1-16-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日以前に契約したもの)では、保険期間のうち前半6割に相当する前払期間が経過するまでは支払保険料の2分の1相当額を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された額を期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入することができる。2018.9-14-1
    被保険者が役員、保険金受取人が法人である逓増定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)では、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金に算入することができる。2017.5-16-4
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、保険期間の6割相当期間経過後は、支払った保険料の全額を損金に算入するとともに、資産に計上していた前払保険料を期間の経過に応じて取り崩して損金に算入する。2015.5-15-2
  3. 適切。全役員・従業員を被保険者とし、死亡給付金受取人が役員・従業員の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の保険料は、10分の9を資産計上して、10分の1を損金算入します。
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    死亡給付金受取人が従業員の遺族、年金受取人が従業員である個人年金保険の保険料は、支払保険料の全額を給与として損金に算入する。2015.10-15-4
    被保険者がすべての役員・従業員、死亡給付金受取人が役員・従業員の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の保険料は、10分の9の金額を資産に計上し、残りの10分の1の金額を損金に算入する。2014.1-15-4
    死亡給付金受取人が従業員の遺族、年金受取人が従業員である個人年金保険の保険料は、支払保険料の全額を給与として損金に算入する。2013.1-14-2
  4. [不適切]。死亡保険金および満期保険金の受取人が法人である養老保険の保険料は、全額を資産計上します。
    法人契約の養老保険のうち、本肢の記述のように2分の1を資産計上、残り2分の1を損金算入できるものを「福利厚生プラン」といいますが、その場合、死亡保険金受取人を従業員の遺族としなければなりません。
したがって不適切な記述は[4]です。