FP2級過去問題 2013年9月学科試験 問15

問15

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者をすべての役員・従業員とする生命保険契約の保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約は考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。
  1. 死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全期間を通じて、全額を資産に計上する。
  2. 死亡保険金受取人が役員・従業員の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。
  3. 死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。
  4. 死亡給付金受取人が役員・従業員の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の保険料は、全期間を通じて、10分の9の金額を資産に計上し、残りの10分の1の金額を損金に算入する。

正解 3

問題難易度
肢112.1%
肢212.7%
肢352.6%
肢422.6%

解説

  1. 適切。契約者及び死亡保険金受取人が法人である終身保険は、いずれは必ず法人が保険金を受け取ることになるため、その保険料は全額を資産計上します。
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2024.1-15-1
    被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2023.5-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。2023.5-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.9-16-1
    被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.9-16-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.5-14-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。2022.1-15-2
    被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2021.9-15-4
    死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2021.5-14-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2021.1-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2020.9-15-2
    死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、全額が資産に計上される。2019.1-16-3
    被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、全額を資産に計上する。2018.9-14-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.5-14-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.1-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.1-15-3
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入に計上する。2017.9-15-2
    被保険者が役員、保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2017.5-16-1
    満期保険金受取人および死亡保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2017.1-15-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2015.10-15-1
    死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、全額を資産に計上する。2015.5-15-1
    被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全額を資産に計上する。2014.5-14-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全額を損金に算入する。2014.1-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険の保険料は、全額を資産に計上する。2014.1-15-3
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2013.1-14-4
  2. 適切。法人契約の養老保険で、①保険料被保険者がすべての役員・従業員、②死亡保険金受取人が役員・従業員の遺族、③満期保険金受取人が法人という3つの条件を満たすものはハーフタックスプラン(養老保険の福利厚生プラン)といい、その保険料は、全期間を通じて2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入します。
    死亡保険金受取人および満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険(特約は付加されていない)の保険料は、資産に計上する。2016.5-15-3
    死亡保険金受取人・満期保険金受取人がともに法人である養老保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2015.10-15-2
    死亡保険金受取人・満期保険金受取人がともに法人である養老保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2013.1-14-1
  3. [不適切]。長期平準定期保険料(2019年7月7日までに契約したもの)の払込みは、保険期間全体の当初6割までの期間と、残り4割の期間で経理処理(仕訳)が異なります。
    保険期間の前半6割の期間の仕訳
    支払保険料の半分を「定期保険料(支払保険料)」として損金算入し、残りの半分を「前払保険料」として資産計上します。
    例) 長期平準定期保険料として210万円を支払った。
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    保険期間の後半4割の期間の仕訳
    支払保険料の全額を「定期保険料(支払保険料)」として損金算入し、さらに、それまでに積み立てた「前払保険料」勘定を残り4/10の期間で均等に取り崩して損金に算入する仕訳をします。
    例) 長期平準定期保険料として210万円を支払った。
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    本肢は「全期間を通じて」1/2ずつを資産と損金に分けると説明しているため誤りです。
    法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。2015.10-15-3
    死亡給付金受取人が役員・従業員の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の保険料は、全期間を通じて、10分の9の金額を資産に計上し、残りの10分の1の金額を損金に算入する。2013.9-15-4
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。2013.1-14-3
  4. 適切。死亡給付金受取人が役員・従業員の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の保険料は、全期間を通じて10分の9の金額を資産計上し。残りの10分の1の金額を損金算入して処理します。
    法人契約の個人年金保険は、死亡給付金と年金の受取人により、以下のように経理処理します。
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    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。2015.10-15-3
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。2013.9-15-3
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、全期間を通じて、2分の1の金額を資産に計上し、残りの2分の1の金額を損金に算入する。2013.1-14-3
したがって不適切な記述は[3]です。