FP2級過去問題 2016年5月学科試験 問43(改題)

問43

民法および宅地建物取引業法に基づく不動産の売買契約上の留意点に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約は考慮しないものとし、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
  1. 買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。
  2. 未成年者が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができる。
  3. 売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく権利を行使して損害賠償の請求をする場合、その不適合を知った時から3ヵ月以内にその旨を売主に通知しなければならない。
  4. 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することはできない。

正解 3

問題難易度
肢111.9%
肢28.9%
肢371.6%
肢47.6%

解説

  1. 適切。手付による契約解除は、相手方が契約の履行に着手するまでに行わなくてはなりません。売買代金の一部を支払う行為は買主側の契約の履行の着手に当たるので、もはや売主側からの手付解除は認められません。
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に償還して契約を解除することができる。2019.9-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2017.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    民法では、解約手付が交付された場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は手付金の倍額償還による売買契約の解除はできないとされる。2013.1-42-1
  2. 適切。未成年者が契約等の法律行為を行う際は、法定代理人(多くの場合は親)の同意を得る必要があります。もし、未成年者が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、本人または法定代理人は民法の規定に従い当該契約を取り消すことができます。
    未成年者が法定代理人の同意を得ずに不動産の売買契約を締結した場合であっても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことはできない。2021.3-43-1
    未成年者が法定代理人の同意を得ずに不動産の売買契約を締結した場合、原則として、その法定代理人だけでなく、未成年者本人も、当該売買契約を取り消すことができる。2019.9-43-2
    民法では、未成年者が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、原則として、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができる。2019.5-43-4
    未成年者が法定代理人の同意を得ないで不動産の売買契約を締結した場合、自らを成年者であると信じさせるため詐術を用いたときは、その売買契約を取り消すことができない。2019.1-42-3
  3. [不適切]。3ヵ月ではありません。売買の目的物に契約不適合があり、売主の担保責任を追及する場合は、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません。
    民法では、売買の目的物に契約不適合があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から2年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2019.5-43-3
    売買の目的物に契約不適合があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その請求を売買契約締結時から5年以内にしなければならない。2019.1-42-2
    民法では、売買の目的物が契約内容に適合しないものであり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2018.1-43-3
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その契約不適合がある事実を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2017.5-43-3
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が担保責任に基づく権利を行使して契約を解除する場合、買主は、その不適合を知った時から2年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2017.1-44-2
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく権利を行使して契約を解除する場合、買主は、その不適合を知った時から6ヵ月以内にその旨を売主に通知しなければならない。2015.5-43-4
    買主が売主に対して担保責任に基づく権利を行使するためには、買主は、その契約不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2014.9-43-2
  4. 適切。宅地建物取引業者が自ら売主として宅地建物の売買契約をする場合、売主である業者は売買代金の2割を超える手付を受領することはできません。なお、2割を超える約定があった場合、その超える部分は無効となります。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない。2024.1-42-4
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない。2023.5-42-2
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の1を超える額の手付を受領することができない。2021.5-42-3
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の1を超える額の手付を受領することができない。2019.5-42-3
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない。2018.9-42-4
    宅地建物取引業者が自ら売主となり宅地建物の売買契約を締結したときは、売買代金の2割を超える額の手付を受領することができない。2018.1-42-1
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない。2017.5-42-3
    宅地建物取引業者が自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主と宅地の売買契約を締結する場合、売買代金の2割を超える手付を受領してはならない。2016.9-42-3
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約の締結に際して、買主が宅地建物取引業者でないとき、購入代金の額の2割を超える手付けを受領してはならないとされている。2015.10-44-3
したがって不適切な記述は[3]です。