FP2級過去問題 2017年5月学科試験 問43(改題)

問43

民法における不動産の売買契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。
  2. 買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主は、履行の催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。
  3. 売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その契約不適合がある事実を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。
  4. 売主は、売買の目的物に契約内容に適合しない事実があることを知らなかった場合、その契約不適合について担保責任を負う必要はない。

正解 3

問題難易度
肢112.1%
肢27.3%
肢373.5%
肢47.1%

解説

  1. 不適切。相手方が契約の履行に着手するまでの間は、買主は手付の放棄、売主は手付の倍額を現実に提供することによって、理由を問わず一方的に契約を解除することができます。契約履行の着手とは、売主の建築工事の着手、買主の購入代金の一部支払いなどが該当します。
    本肢のように、買主が売買代金の一部を支払った後の場合は履行に着手した後となりますので、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても契約を解除することはできません。
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に償還して契約を解除することができる。2019.9-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。2016.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    民法では、解約手付が交付された場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は手付金の倍額償還による売買契約の解除はできないとされる。2013.1-42-1
  2. 不適切。買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主は相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行されないときに契約を解除することができます。履行不能や履行拒絶の場合には催告を要さず直ちに契約を解除することが可能ですが、履行遅滞では催告を要します。
    買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主は、履行の催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。2019.1-42-1
    買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主が契約を解除するためには、相当の期間を定めて履行の催告をしなければならない。2018.9-43-1
  3. [適切]。売主の担保責任とは、売買の目的物に契約内容との相違があったとき売主が買主に対して負う責任のことで、売主は故意・過失の有無にかからわず責任を負います。買主が売主に対して損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません。なお、売主は買主が知っていた契約不適合についても担保責任を負うことがあります。
    民法では、売買の目的物に契約不適合があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から2年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2019.5-43-3
    売買の目的物に契約不適合があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その請求を売買契約締結時から5年以内にしなければならない。2019.1-42-2
    民法では、売買の目的物が契約内容に適合しないものであり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2018.1-43-3
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が担保責任に基づく権利を行使して契約を解除する場合、買主は、その不適合を知った時から2年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2017.1-44-2
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく権利を行使して損害賠償の請求をする場合、その不適合を知った時から3ヵ月以内にその旨を売主に通知しなければならない。2016.5-43-3
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく権利を行使して契約を解除する場合、買主は、その不適合を知った時から6ヵ月以内にその旨を売主に通知しなければならない。2015.5-43-4
    買主が売主に対して担保責任に基づく権利を行使するためには、買主は、その契約不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2014.9-43-2
  4. 不適切。原則として売主の担保責任は無過失責任とされています。売主が、たとえ売買の目的物に契約不適合があることを知らなかったとしても、故意・過失の有無にかかわらず責任を負わなければなりません。
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、売主は、その契約不適合があることについて故意または重大な過失があるときに限り、買主に対して担保責任を負う。2018.9-43-4
    売買の目的物に契約内容の適合しない事実があった場合、売主がその契約不適合について善意無過失であるときは、売主は、担保責任を負わない。2018.5-43-2
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、その契約不適合について売主に過失がなくても、売主は、原則として、担保責任を負わなければならない。2017.1-44-1
    売買契約の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、売主は、その不適合があることについて故意または過失があるときに限り、買主に対して担保責任を負う。2015.1-42-3
    売買契約の目的物である建物に契約内容に適合しない事実があった場合、売主は、その契約不適合について故意または過失がある場合に限り、買主に対して担保責任を負う。2014.1-44-3
    売買契約の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、その契約不適合について契約時に買主が知っていた場合には、売主は買主に対して担保責任を負わない。2013.9-43-3
    民法では、売買契約の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、その契約不適合について売主に過失がなくても、売主は、原則として、担保責任を負わなければならないとされる。2013.1-42-4
したがって適切な記述は[3]です。