FP2級過去問題 2015年5月学科試験 問43(改題)

問43

民法に基づく不動産の売買契約上の留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
  1. 買主が売主に解約手付を交付した場合、売主が契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄することにより、売買契約を解除することができる。
  2. 売買契約締結後、売主の責めに帰すべき事由により引渡しなどの履行遅滞が生じた場合、買主は、催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。
  3. 共有となっている不動産について自己が有している持分は、他の共有者の同意を得なければ、第三者に譲渡することができない。
  4. 売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく権利を行使して契約を解除する場合、買主は、その不適合を知った時から6ヵ月以内にその旨を売主に通知しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢159.6%
肢211.0%
肢316.6%
肢412.8%

解説

  1. [適切]。解約手付が交付された場合、契約の相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供して契約を解除できます。
    買主が売主に解約手付を交付した場合、売主は、買主が契約の履行に着手する前であれば、受領した手付の倍額を買主に対して現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2024.5-42-4
    不動産の売買契約において買主が売主に手付金を交付した場合、売主が契約の履行に着手する前であれば、買主はその手付金を放棄することで契約を解除することができる。2023.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。2022.1-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手した後でも、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.9-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.3-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に現実に提供して契約を解除することができる。2019.9-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は、受領した手付金の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主は、手付金を全額返還することにより契約の解除をすることができる。2018.5-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2017.5-43-1
    買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。2016.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    買主が解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主はその手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2013.5-42-1
  2. 不適切。売買契約締結後に、売主の引渡しの遅延行為等が生じた場合にも、買主は直ちに契約解除できるわけではありません。履行遅滞の場合、買主は相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときでなければ契約を解除することができません。なお、引渡し予定の建物が滅失してしまった場合など、売主が履行できない状況(履行不能)に陥った場合には、買主は直ちに契約を解除できます。
    売買契約の締結後、買主の責めに帰すことのできない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2024.5-42-1
    売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2023.5-43-4
    売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2023.1-43-3
    売買契約締結後、買主の責めに帰すことのできない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2022.9-43-1
    売買契約締結後、買主の責めに帰さない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2022.1-43-4
    売買契約締結後、当該売買契約に定められている売主が負う債務の全部の履行が不能となった場合、その履行不能が買主の責めに帰すべき事由によらないときは、買主は、履行の催告をすることなく当該売買契約を解除することができる。2021.3-43-3
    売主の責めに帰すべき事由により、売買契約の目的物である不動産の引渡しに遅滞が生じた場合、買主は、催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができる。2018.5-43-3
    売買契約締結後、売主の責めに帰すべき事由により引渡しに履行遅滞が生じた場合、買主は、催告なく直ちに契約を解除することができる。2017.1-44-3
    売主の責めに帰すべき事由により、売買契約で定められている債務の履行が不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく当該契約を解除することができる。2015.1-42-4
    売主の責めに帰すべき事由により、売買契約で定められている債務の履行が不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく当該契約を解除することができる。2013.9-43-2
  3. 不適切。共有持分は所有権の一種ですから、各共有者は自分の持分を自由に処分(第三者への譲渡や売却などが)できます。他の共有者の同意は不要です。他の共有者全員の同意が必要なのは、共有物を変更・処分する場合です。
  4. 不適切。売買の目的物に契約不適合があり、売主の担保責任を追及する場合は、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません。本肢は「6ヵ月」としているので誤りです。売主に請求できるのは、履行の追完、代金減額、契約解除、損害賠償請求です。
    民法では、売買の目的物に契約不適合があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から2年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2019.5-43-3
    売買の目的物に契約不適合があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その請求を売買契約締結時から5年以内にしなければならない。2019.1-42-2
    民法では、売買の目的物が契約内容に適合しないものであり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2018.1-43-3
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その契約不適合がある事実を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2017.5-43-3
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が担保責任に基づく権利を行使して契約を解除する場合、買主は、その不適合を知った時から2年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2017.1-44-2
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、買主が売主の担保責任に基づく権利を行使して損害賠償の請求をする場合、その不適合を知った時から3ヵ月以内にその旨を売主に通知しなければならない。2016.5-43-3
    買主が売主に対して担保責任に基づく権利を行使するためには、買主は、その契約不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2014.9-43-2
したがって適切な記述は[1]です。