生命保険(全154問中53問目)

No.53

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も2024年10月に締結し、他に加入している保険契約はなく、保険料は年払いであるものとする。
2021年1月試験 問15
  1. 法人が受け取った医療保険の入院給付金は、その全額を益金の額に算入する。
  2. 死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
  3. 給付金受取人が法人で、解約返戻金相当額のない短期払いの医療保険の支払保険料は、その事業年度に支払った保険料の額が被保険者1人当たり30万円以下の場合、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
  4. 死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が65%である定期保険(保険期間20年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

正解 4

問題難易度
肢114.3%
肢217.4%
肢321.2%
肢447.1%

解説

  1. 適切。受取人が法人である医療保険の入院給付金は、その全額を益金(雑収入)に算入します。個人が受け取る入院給付金は非課税ですが、法人税法では非課税ではありません。
    法人が受け取った医療保険の手術給付金は、その全額を雑収入として益金の額に算入する。2021.5-14-1
    法人が受け取った医療保険(10年更新)の入院給付金は、その全額を雑収入として計上する。2017.1-15-3
  2. 適切。契約者及び死亡保険金受取人が法人である終身保険は、いずれは必ず法人が保険金または解約返戻金を受け取ることになります。貯蓄性が高いため、その保険料は全額を保険料積立金として資産計上します。
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して法人が受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。2024.9-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2024.5-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2024.1-15-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。2023.5-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.9-16-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2022.5-14-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。2022.1-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を法人が解約して受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。2021.9-15-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入として益金の額に算入する。2021.5-14-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。2020.9-15-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、資産に計上していた保険料積立金との差額を雑収入または雑損失として計上する。2019.5-15-2
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、全額を雑収入として益金の額に算入する。2019.1-16-2
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、資産に計上していた保険料積立金等との差額を雑収入または雑損失として計上する。2018.9-14-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.5-14-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2018.1-15-3
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入に計上する。2017.9-15-2
    被保険者が役員、保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。2017.5-16-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2015.10-15-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、全額を雑収入として経理処理する。2015.5-15-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全額を損金に算入する。2014.1-15-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、全期間を通じて、全額を資産に計上する。2013.9-15-1
    死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上する。2013.1-14-4
  3. 適切。法人契約の医療保険で解約返戻金がないタイプの保険契約は、支払保険料を以下のように経理処理します(2019年10月8日以降の契約)。
    2/351.png/image-size:511×176
    短期払いであってもその支払保険料が被保険者1人当たり30万円以下であれば、全額を損金に算入することができます。なお、解約返戻金のある全期間払いのタイプは定期保険の経理処理に準じます。
  4. [不適切]。60%ではありません。法人契約の定期保険で保険期間が3年超のものは、最高解約返戻率によって資産計上割合が下表のように異なります。本肢の定期保険は最高解約返戻率65%なので、下表2行目に従って前半4割の期間には支払保険料の40%を資産計上する経理処理を行います。
    2/350.png/image-size:536×309
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2024.9-15-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が75%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2024.5-15-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間30年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2024.1-15-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2023.5-15-4
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が75%である定期保険(保険期間:40年、年払保険料:100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2022.9-16-3
    被保険者が役員、保険金受取人が法人である解約返戻金のない終身払いのがん保険(保険期間:終身、年払保険料:80万円)の支払保険料は、保険期間満了年齢を116歳とした保険期間の前半5割相当期間においては、その50%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2022.9-16-4
    死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が65%である定期保険(保険期間20年、年払保険料120万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2022.5-14-1
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間20年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半100分の40相当期間においては、その40%相当額を限度に損金の額に算入することができる。2022.1-15-3
    死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間20年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2021.5-14-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間10年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。2020.9-15-3
    被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)の保険料は、保険期間の前半6割相当期間においては、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金に算入することができる。2018.1-15-4
    死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険(2019年7月7日までに契約したもの)について、保険期間の前半6割相当期間においては、保険料の3分の2を資産に計上し、残りの3分の1を損金に算入することができる。2016.5-15-2
したがって不適切な記述は[4]です。