不動産の取引(全95問中23問目)

No.23

不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
2021年9月試験 問42
  1. 売主から代理権を付与された第三者が売主の所有不動産を売却する場合、その第三者が売買契約の締結時に売主の代理人である旨を買主に告げていなければ、買主がその旨を知ることができたとしても、当該契約は無効となる。
  2. 不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者全員の同意を得なければならない。
  3. 売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。
  4. 買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手した後でも、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。

正解 3

問題難易度
肢18.5%
肢213.2%
肢363.1%
肢415.2%

解説

  1. 不適切。代理人が相手方に対して代理人であることを示していない場合、その意思表示は、代理人が自己のために行ったものとみなされます。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、または知ることができたときは有効な代理行為となります。
    したがって、買主が、代理人の意思表示は本人のためである旨を知ることができたときは有効な代理行為として、売主と買主の売買契約は有効となります。
  2. 不適切。共有持分は所有権のひとつですから、自己の持分については他の所有者の同意を得なくても第三者に譲渡できます。他の共有者全員の同意が必要なのは、共有物を変更・処分する場合です。
    不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己の有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要がある。2023.9-43-3
    不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。2023.5-43-3
    不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要はない。2023.1-43-2
    建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者の同意は必要としない。2022.5-43-2
    建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者全員の同意を得なければならない。2020.9-43-2
    共有となっている建物について、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。2019.9-43-4
  3. [適切]。契約締結から引渡しまでの危険(リスク)は売主が負担します。自然災害のように、当事者双方の責めに帰することができない事由によって売買目的物が滅失した場合、買主は売主に対する代金支払いを拒むことができます。
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震により全壊した場合、買主は、売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。2024.5-42-3
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は、売主に対する建物代金の支払いを拒むことができる。2023.9-43-4
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、台風によって全壊した場合、売主の責めに帰することができない事由であるため、買主は、売主に対する建物代金の支払いを拒むことはできない。2023.5-43-2
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。2023.1-43-1
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、台風によって全壊した場合、売主の責めに帰すことのできない事由であることから、買主は、売主に対して建物代金の支払いを拒むことはできない。2022.9-43-4
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に台風等の天災によって滅失した場合、買主は売買代金の支払いを拒むことができない。2022.1-43-3
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に、水害等の天災により滅失した場合、買主は売主に対する代金の支払いを拒むことができる。2018.5-43-4
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に、水害等の天災により滅失した場合、買主は売主に対して売買代金の支払いを拒むことができない。2017.1-44-4
    売買契約の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に、水害等の天災により滅失した場合、売主は買主に対して売買代金の請求をすることができる。2014.1-44-2
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後引渡しまでの間に、自然災害などの売主の責めに帰すべき事由によらずに毀損した場合には、買主は売主に対して、代金の減額を請求することができない。2013.5-42-3
  4. 不適切。解約手付による契約解除は、相手方が契約の履行に着手するまでに行わなくてはなりません。よって、相手方が売買契約の履行に着手した後は手付解除はできません。
    買主が売主に解約手付を交付した場合、売主は、買主が契約の履行に着手する前であれば、受領した手付の倍額を買主に対して現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2024.5-42-4
    不動産の売買契約において買主が売主に手付金を交付した場合、売主が契約の履行に着手する前であれば、買主はその手付金を放棄することで契約を解除することができる。2023.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。2022.1-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.3-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に現実に提供して契約を解除することができる。2019.9-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は、受領した手付金の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主は、手付金を全額返還することにより契約の解除をすることができる。2018.5-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2017.5-43-1
    買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。2016.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、売主が契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄することにより、売買契約を解除することができる。2015.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    買主が解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主はその手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2013.5-42-1
したがって適切な記述は[3]です。