不動産の取引(全95問中3問目)

No.3

不動産売買の契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
2024年5月試験 問42
  1. 売買契約の締結後、買主の責めに帰すことのできない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
  2. 売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、売主が引渡しの時にその不適合を知っていたとしても、買主は、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。
  3. 売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震により全壊した場合、買主は、売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。
  4. 買主が売主に解約手付を交付した場合、売主は、買主が契約の履行に着手する前であれば、受領した手付の倍額を買主に対して現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。

正解 2

問題難易度
肢113.9%
肢270.3%
肢35.2%
肢410.6%

解説

  1. 適切。契約に債務不履行があった場合、その不履行が軽微でなければ契約を解除することができます。この際、債務不履行の状態によって、契約解除をする側がとるべき手続きが異なります。
    履行不能(履行が不可能であるとき)
    履行拒絶(相手方が履行拒絶の意思を明確に示したとき)
    履行の催告をすることなく、直ちに契約解除できる
    履行遅滞(履行ができるのに履行期を過ぎても履行しないとき)
    相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行されないときに契約解除できる
    本肢は「履行不能」の状態なので、履行の催告をすることなく直ちに契約を解除することができます。
    売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2023.5-43-4
    売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2023.1-43-3
    売買契約締結後、買主の責めに帰すことのできない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2022.9-43-1
    売買契約締結後、買主の責めに帰さない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。2022.1-43-4
    売買契約締結後、当該売買契約に定められている売主が負う債務の全部の履行が不能となった場合、その履行不能が買主の責めに帰すべき事由によらないときは、買主は、履行の催告をすることなく当該売買契約を解除することができる。2021.3-43-3
    売主の責めに帰すべき事由により、売買契約の目的物である不動産の引渡しに遅滞が生じた場合、買主は、催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができる。2018.5-43-3
    売買契約締結後、売主の責めに帰すべき事由により引渡しに履行遅滞が生じた場合、買主は、催告なく直ちに契約を解除することができる。2017.1-44-3
    売買契約締結後、売主の責めに帰すべき事由により引渡しなどの履行遅滞が生じた場合、買主は、催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。2015.5-43-2
    売主の責めに帰すべき事由により、売買契約で定められている債務の履行が不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく当該契約を解除することができる。2015.1-42-4
    売主の責めに帰すべき事由により、売買契約で定められている債務の履行が不能となった場合、買主は、履行の催告をすることなく当該契約を解除することができる。2013.9-43-2
  2. [不適切]。買主が売買目的物についての契約不適合責任を追及するためには、原則として、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません。ただし、引渡し時に売主が知っていた不適合については、1年の期間制限はありません。その場合、買主は、契約不適合責任の消滅時効が成立するまでの間であれば、売主の責任を追及することができます。
    売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、契約の解除をすることができない。2023.1-43-4
    売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを過失なく知らないまま、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。2022.9-43-2
    売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。2022.1-43-2
  3. 適切。契約締結から引渡しまでの間に、天災などのやむを得ない原因(売主・買主の責めに帰すことのできない事由)で売買目的物が滅失した場合、売主の引渡し債務は履行不能となり消滅し、買主は売主に対する代金支払いを拒むことができます。
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は、売主に対する建物代金の支払いを拒むことができる。2023.9-43-4
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、台風によって全壊した場合、売主の責めに帰することができない事由であるため、買主は、売主に対する建物代金の支払いを拒むことはできない。2023.5-43-2
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。2023.1-43-1
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、台風によって全壊した場合、売主の責めに帰すことのできない事由であることから、買主は、売主に対して建物代金の支払いを拒むことはできない。2022.9-43-4
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に台風等の天災によって滅失した場合、買主は売買代金の支払いを拒むことができない。2022.1-43-3
    売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。2021.9-42-3
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に、水害等の天災により滅失した場合、買主は売主に対する代金の支払いを拒むことができる。2018.5-43-4
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に、水害等の天災により滅失した場合、買主は売主に対して売買代金の支払いを拒むことができない。2017.1-44-4
    売買契約の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に、水害等の天災により滅失した場合、売主は買主に対して売買代金の請求をすることができる。2014.1-44-2
    売買の目的物である建物が、売買契約締結後引渡しまでの間に、自然災害などの売主の責めに帰すべき事由によらずに毀損した場合には、買主は売主に対して、代金の減額を請求することができない。2013.5-42-3
  4. 適切。売買契約で買主から売主に解約手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手するまでであれば、買主はその手付を放棄し、売主はその手付の倍額を現実に提供することで、当該契約を解除することができます。
    不動産の売買契約において買主が売主に手付金を交付した場合、売主が契約の履行に着手する前であれば、買主はその手付金を放棄することで契約を解除することができる。2023.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。2022.1-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手した後でも、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.9-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.3-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に現実に提供して契約を解除することができる。2019.9-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は、受領した手付金の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主は、手付金を全額返還することにより契約の解除をすることができる。2018.5-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2017.5-43-1
    買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。2016.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、売主が契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄することにより、売買契約を解除することができる。2015.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    買主が解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主はその手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2013.5-42-1
したがって不適切な記述は[2]です。