不動産の取引(全93問中41問目)

No.41

不動産の売買契約における民法上の留意点に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。
2018年9月試験 問43
  1. 買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主が契約を解除するためには、相当の期間を定めて履行の催告をしなければならない。
  2. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は、受領した手付金の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。
  3. 土地の売買契約において、その土地の登記記録の面積と実測面積とが相違していても、その面積の差に基づく売買代金の増減精算は行わないという旨の特約は、有効である。
  4. 売買の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、売主は、その契約不適合があることについて故意または重大な過失があるときに限り、買主に対して担保責任を負う。

正解 4

問題難易度
肢19.5%
肢211.3%
肢316.9%
肢462.3%

解説

  1. 適切。買主に債務の履行遅滞が生じて、売主がそれを理由に契約を解除したい場合は、契約解除する前に相当の期間を定めて履行の催告をしなければなりません。催告期間内に履行がないときには契約解除することができます。
    買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主は、履行の催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。2019.1-42-1
    買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主は、履行の催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。2017.5-43-2
  2. 適切。買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主は買主に対して手付の倍額を現実に提供すれば契約を解除できます。
    買主が売主に解約手付を交付した場合、売主は、買主が契約の履行に着手する前であれば、受領した手付の倍額を買主に対して現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2024.5-42-4
    不動産の売買契約において買主が売主に手付金を交付した場合、売主が契約の履行に着手する前であれば、買主はその手付金を放棄することで契約を解除することができる。2023.9-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。2022.1-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手した後でも、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.9-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、相手方が売買契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を現実に提供して、当該売買契約を解除することができる。2021.3-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に償還して契約を解除することができる。2019.9-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主は、手付金を全額返還することにより契約の解除をすることができる。2018.5-43-1
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2017.5-43-1
    買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。2016.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、売主が契約の履行に着手するまでは、買主はその解約手付を放棄することにより、売買契約を解除することができる。2015.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    買主が解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主はその手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2013.5-42-1
  3. 適切。「土地の登記記録の面積と実測面積とが違っても売買代金の精算はしない」という旨の特約は有効に定めることができます。いわゆる「公簿取引」です。
    土地の売買契約において、その土地の登記記録の面積と実測面積とが相違していても、その面積の差に基づく売買代金の増減精算は行わないという旨の特約は有効である。2021.3-43-4
    土地の売買契約において、その土地の登記記録の面積と実測面積とが相違していても、その面積の差に基づく売買代金の増減精算は行わないという旨の特約は、有効である。2015.1-42-2
    土地の売買契約において、その土地の登記記録の面積と実測面積とが相違しても、その面積の差に基づく売買代金の増減精算は行わないという旨の特約は、有効である。2013.1-42-2
  4. [不適切]。売買の目的物に契約不適合があった場合、売主はその契約不適合について故意・過失の有無にかかわらず、履行の追完、代金減額、契約解除、損害賠償などの担保責任を負います。
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    売買の目的物に契約内容の適合しない事実があった場合、売主がその契約不適合について善意無過失であるときは、売主は、担保責任を負わない。2018.5-43-2
    売主は、売買の目的物に契約内容に適合しない事実があることを知らなかった場合、その契約不適合について担保責任を負う必要はない。2017.5-43-4
    売買の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、その契約不適合について売主に過失がなくても、売主は、原則として、担保責任を負わなければならない。2017.1-44-1
    売買契約の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、売主は、その不適合があることについて故意または過失があるときに限り、買主に対して担保責任を負う。2015.1-42-3
    売買契約の目的物である建物に契約内容に適合しない事実があった場合、売主は、その契約不適合について故意または過失がある場合に限り、買主に対して担保責任を負う。2014.1-44-3
    売買契約の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、その契約不適合について契約時に買主が知っていた場合には、売主は買主に対して担保責任を負わない。2013.9-43-3
    民法では、売買契約の目的物に契約内容に適合しない事実があった場合、その契約不適合について売主に過失がなくても、売主は、原則として、担保責任を負わなければならないとされる。2013.1-42-4
したがって不適切な記述は[4]です。